ウィスキー『あかし』。レッドが有名ですが、そのほかにもシリーズがいくつか出ています。
実はとても歴史あるウィスキーですが、酒屋さんで見かけたことはあっても、実は飲んだことがない……という方も多いのでは?
まずいという意見もよく見られますが、本当に「まずい」のか? あかしの定番銘柄は?
江井ヶ嶋酒造が手掛けるウィスキー「あかし」を全種類詳しく調べました。それぞれの銘柄にあわせたおすすめの飲み方も紹介します。
あかしの歴史
ウィスキー「あかし」を作っているのは、江井ヶ嶋酒造(えいがしましゅぞう)というところ。
江井ヶ嶋酒造は、清酒「神鷹」を生み出した酒類メーカーです。
日本酒を主に製造していますが、「日本酒メーカーは、日本酒のみをつくるにあらず」という考え方を大事にしていて、日本酒だけではなく、ワインやブランデーなども手掛けています。
実はあかしはとても歴史あるウィスキーです。
日本で初めてウィスキーを作ったのはあのサントリーで、1929年に「白札」(サントリーホワイト)が発売されています。
ですが、江井ヶ嶋酒造はそれより何年も前からウィスキー製造免許を取得しています。
江井ヶ嶋酒造は1888年に設立され、ウイスキーの製造免許を取ったのは1919年。当時から視野にいれており、日本初のウィスキー醸造所であるという説もあります。
そんな技術の結晶であるウィスキー「あかし」。40年近くの歴史があるウィスキーと言えます。
あかしの口コミ・評判
あかしの評判は往々にして上々ですが、中には「まずい」という声も聞かれます。
調べてみたところ、高評価が7割強、低評価が3割程度といった印象です。
まずいと言われる理由として、コクや香りが弱く味があまり感じないという意見が多くあげられます。
あかし全体の傾向として、クセがなく淡麗辛口であること、コスパが重視されていることがあるため、個性的な香り・味わいのウィスキーを求めている人からは、「まずい」と言われがちなのです。
しかし裏を返せば、クセがなくゴクゴクのめて、毎日の晩酌にぴったりのお酒ということ。
とくにハイボールに適していることが多いので、夏呑むにはぴったりのウィスキーです。
あかしの定番銘柄
ブレンデッド
はちみつのような甘味を感じる「ホワイトオーク あかし・レッド」
気軽に呑める価格帯の、コスパが良いウィスキー。
癖がなく淡麗辛口、スッキリとした味わいです。ピリっとするほどの辛口ですが、余韻はマイルド。トーストを思わせる香ばしさと、オレンジママレードやハチミツを思わせる甘みを感じます。
飲み方はストレートかロックがおすすめ。加水すると癖のある香りが前に出てくるので、個人的にはあまりおすすめしません。
ハイランド系がお好きな方に「ホワイトオーク 地ウイスキーあかし」
あかしレッドよりもモルトの比率が高いウィスキーです。
レッドが甘めなのに対して、こちらはもっと辛口な印象。やはり癖がなく、すっと入ってきます。
若干のスモーキーさもあいまって、ハイランド系がお好きな方ならきっと気に入る味です。
こちらはロックで飲むのがおすすめです。爽やかな甘みを感じられ、スッキリといただけます。
華やかな香り「ウイスキー明石700」
「明石の地ウィスキー」に比べて、モルトの比率が高めになっているのだそう。
グレープフルーツのような酸味が爽やか。華やかな花の香りと、ナシを思わせる香りがします。
ストレートだと甘みが強く、加水すると苦味を全面に感じます。
ハイボールで呑むのがおすすめ。夏にごくごく飲むのにぴったりの味わいです。
加水すると香りが開く「あかし シーアンカー 40°」
飲食店向けに発売されている「あかし」です。
一般販売向けのホワイトオークあかしとはまったく異なる味わいです。甘さと酸味が印象的。
ロックや水割り、ハイボールなど、加水するのがおすすめ。ストレート時には奥にあった香りが前に出てきて驚きます。
あかし シーアンカー
シングルモルト
優しくまろやかな味わい「ホワイトオーク あかし シングルモルト 46°」
シェリー酒樽原酒とバーボン樽原酒をあわせて作られたウィスキーです。
シングルモルトらしい香ばしい香りとレーズンのような甘味があり、優しくまろやかな味わい。
飲み方は断然、ストレートがおすすめです。おつまみはナッツがよく合います。
数量限定(少量生産)の銘柄
甘みのある味わい「あかし 5年 バーボンカスク 56°」
ジャックダニエルの樽で寝かせたウィスキー。
バーボンらしい甘みも加わって、チョコレートのような甘みを強く感じます。あかしの特徴でもある甘い余韻が強く出ており、美味です。
ストレートかロックでどうぞ。ハイボールもおいしくいただけます。
とってもなめらか「あかし 3年 カスク 50°」
日本酒を詰めた後の樽で熟成されたウィスキー。
とにかくまろやかでなめらか。絹のような舌触りには感服するばかりです。全体的に甘めですが、あかしらしいスモーキーさもあります。
まずはストレートでどうぞ。ハイボールもおすすめです。からあげやてんぷらなど、和食ともよく合います。
あかし 3年 カスク
モルト本来の味が楽しめる「あかし5年 オロロソフィニッシュ 50°」
シェリーたるで熟成されたシングルモルトです。冷却ろ過していないので、モルト本来の味が楽しめます。
バニラやカラメルのような甘味と香りが特徴。あかしのスモーキーさとコーヒーのような苦味に、甘みが加わります。
まろやかで飲みやすく、けれど一筋縄ではいかない味わいは、初心者にも上級者にも楽しめる味わいです。
ストレートかロックで飲むのがおすすめです。
あかし5年 オロロソフィニッシュ
複雑な味わい「シングルモルトあかし5年 オロロソシェリーカスク」
オグスヘッドのオーク樽で3年、オロロソシェリー樽で2年熟成させたウィスキーです。
ゴムや硫黄を思わせるスパイシーな風味とフルーティな甘みと渋み、苦味の強い余韻があいまって、複雑な味わい。
それらをまろやかなスモーキーさがまとめています。ストレートが至高です。ロックでも。
シングルモルト あかし5年 オロロソシェリーカスク
特徴的な甘さ「ホワイトオーク あかし 10年 オールド・シェリー・バット」
スパニッシュオークのブランデー樽のリフィルカスクを使用したウィスキー。
とにかく特徴的なのがその甘み。チョコレートのビターな苦みと、メープルシロップやキャラメルを思わせる甘みがあり、あとからゴムや植物の青さが追ってきます。
水割りやハイボールがおすすめです。ストレートもおいしいのですが、加水することでとても飲みやすくなります。
アルコール度数は60度と高めなので、呑みすぎには注意です!
あかし 10年 オールド・シェリー・バット
唯一無二の味わい「あかし アネホフィニッシュ」
テキーラ樽で熟成したウィスキー。こういった珍しい樽で熟成されたウィスキーは、あかしの特徴といってもいいでしょう。
ホワイトオーク樽で3年、テキーラのアネホ樽で2年熟成させただけあって、唯一無二の味わい。
花の香りと甘み、複雑な味わい……経験したことがない味わいで、形容しがたい旨さです。一飲の価値あり。
まずはストレートで味わってみてください。
あかし アネホフィニッシュ
フルーティな甘み「シングルモルト あかし 5年 コニャックカスク」
リムーザンオーク樽で5年寝かせて作られたウィスキーです。
とにかくフルーティなのが印象的。ベリーの甘みに、白ブドウや白桃、ライチを思わせる爽やかさ。グレープフルーツのような酸味も感じられます。
もちろんフルーティなだけではなく、樽のビターさや渋みもあり、あかしらしさも余すことなく楽しむことができます。
ロックやハイボールがおすすめ。
あかし 5年 コニャックカスク
複雑な香りとあじわい「ホワイトオーク あかし 5年 ファーストフィル・バーボンバレル」
バーボン樽で5年以上熟成させたウィスキー。まず驚くのがその複雑な味わいと香り。
どこかバーボンを思わせる、バニラのような香りがします。はちみつやマーマレードを思わせる甘みと酸味に、レモングラスのようなハーブの香り。余韻はビターチョコレートを思わせます。
バーボンのように、自由に楽しんで。おすすめはロックです。
シェリー樽好きにおすすめ「ホワイトオーク あかし 5年 スパニッシュオークシェリー」
スパニッシュオークシェリー樽で5年間貯蔵したウィスキーです。
とにかくシェリーの風味が強い! 香り、味わい、すべてをシェリー樽が支配しています。
その中をかいくぐり、あかしらしいスモーキーな味わいをじわりと感じます。
タンニンが強く、余韻も長く続くのが特徴的。
シェリー樽が好きという方にはぜひおすすめしたい一本です。
手に入ったらラッキー!「ホワイトオーク あかし 5年 赤ワインカスク」
コニャックカスクに4年、赤ワイン樽で1年熟成させたもの。520本限定発売商品なので、手に入ったらラッキーです。
ビターでマイルド。なめらかな舌触りが特徴。
あっさりしたウィスキーが多いあかしの中では、深みがある、呑み応えがある味わいです。
贈り物にも最適。ちょっと変わったお酒が呑みたいひとにおすすめ。ウィスキー好きにはもちろん、ワイン好きにも一度は呑んでほしい味わいです。
飲み方はだんぜん、ストレートがいいでしょう。
あかし 5年 赤ワインカスク
軽やかかつ複雑な味わい「シングルモルト あかし 白ワイン カスク」
ホッグスヘッドで3年、白ワイン樽で1年3ヶ月間熟成させたウィスキー。
限定400本と生産量が非常に少ないので、こちらも手に入ったらラッキーです。
フルーティで軽やかな味わいで、ピートも感じられます。あかしらしくあっさり淡麗辛口な味わいながらも、複雑な香りと味わいが楽しめる一本。
初心者にも上級者にも呑んでほしいウィスキーです。飲み方はロックやハイボールがおすすめです。